message/Run Riot(12/11/2021)

────────焦燥、絶望、希望。

これが自分を今日支配してきた感情だ。

なぜ、このような気持ちになっているのか、それを今ここに記そう。自分の記憶のために。

 

 

2021/12/04。自分は彼女とスカイツリーに来ていた。彼女と一緒に登るタワーに胸の鼓動を高ぶらせながら、錦糸町で降りて徒歩で待ち合わせ場所へ。彼女の来る路線は出口が違ったので急遽場所を変更し、何とか落ち合うことができた。そしてスカイツリーに登って、他愛もない話をしながら一周し、降りた。その後はすみだ水族館へ。クラゲが多い水族館で、とても小さいクラゲもいた。そんな水族館を一緒に回り、魚の話題で盛り上がりながら出口までついた。

その後は歩いて浅草まで行った。イルミネーションが印象的だった。道中、彼女と手を繋いで歩けたのがとても嬉しかった。そして夜ご飯を共にし、帰りに鶯谷駅へと誘った。彼女は了承してくれて、一緒に朝まで過ごすことができた。彼女の手は小さく、柔らかい。体温は暖かくて、自分の寒さを和らげてくれる気がした。要は、落ち着いたのだ。

そして、その体温をいつまでも感じることができる。そう思っていた。

 

 

2021/12/10。彼女と過ごした土日を経て、月曜日から木曜日までは無難に仕事をこなしていた。途中飲み会もあったが、何とかやり遂げることができたのは嬉しかった。

そしてこの朝。彼女から唐突にラインが来た。大事な話があるから土曜日の昼に会おうというものだった。何気ない不安を感じながら了承した。偶然か必然か、その日の仕事は全くと言っていいほど、はかどらなかった。

 

 

2021/12/11。昨日から続く不安を胸に起床し、午前中は大学の用事をこなして時間を潰した。これは結構気分転換になった。久々に様々な発表を聞けて、自身のモチベーションにも繋がった。

そして昼。彼女と待ち合わせする予定の駅へ。いつも通り自分が先に着き、彼女を待っていた。そして彼女が来た。いつもと変わらない姿・様子だった。

 

近くの公園を探して、そこへ向かう。そして横長のベンチに座って、一拍置く。

そして彼女の口から告げられたのは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別れの言葉だった。

 

 

思考が停止した。それでも彼女の口は止まっていかない。言葉が入ってこない。聞き間違いか。いや違う。間違いない。彼女は自分に別れてほしいと告げているのだ。

 

ほとんど止まった思考回路を一生懸命動かして、ようやく理由を聞くことができた。

彼女は、自分なら好きになれると思って付き合い始めたが、自分への想いは今でも「恋」という意味での好きとは言えない、とのことだった。いい人だけど、恋愛対象じゃない。要はそういうことだ。

 

その言葉を聞いた瞬間、自分の思考回路が動き始めた。そして告げた。思いの丈を。

 

自分はまだ彼女のことをよく知れていないこと。恋愛対象になるにはどうしたらいいかを教えてほしいこと。そして、彼女となら、付き合いの先まで考えられるということ。

 

その全てをぶつけても、彼女の答えは変わらなかった。自分の言葉はもう、彼女には届かなかった。

 

自分にはもう、分かったというしかなかった。そしてそう告げた。

そして、最後に「傷つけてしまったのは、私が悪い、ごめんね。」と告げられた。

 

そして別れを告げ、お互いが別の帰路へ着く。もう二度と会うことはない。彼女の笑顔も、小さな手も、体温も、すべて感じることはなくなる。

とてつもない虚無と絶望感に襲われながら、ただ歩き続けた。気づけば最寄り駅についていた。夕方に友人とご飯を食べる予定だったのを思い出し、そのおぼつかない足取りで電車に乗って東京まで向かった。

 

そして夜。友人と落ち合い、ご飯を食べた。食べている間、友人には自分に起きたことを聞いてもらっていた。友人からは励ましの言葉をたくさんもらった。感謝しかなかった。本当に、感謝しかなかった。こういう友人は大切にしようと改めて誓った。

 

 

友人と別れ、帰路に着く。

帰りの電車の中と、歩いているときに、自分の想いを整理していた。

 

 

自分は、彼女との仲を手放せなかった。

            だけどその鎖はちぎれた。虚無。

 

自分は、この虚無から立ち直れるだろうか。

            だけど断ち切るしかない。希望。

 

自分は、希望を悲しみで潰してしまわないだろうか。

            ならば未来へ駆け出して。衝動。

 

 

 

そうだ、彼女との出会いと別れは、自分の恋愛の進化と始まりなのだ。彼女と出会えたことで自分の恋愛は進化し、彼女と別れることで、次の恋愛が始まり、より成熟した恋愛ができるのだ。

何も悲しむことはない。もちろん、悲しいさ。本当に好きだった、愛していたといっても全く過言ではないぐらいには。だけど、その想いを彼女は受け止めてはくれなかった。だったら、その想いを受け止めてくれて、同じくらいの気持ちを自分にぶつけてくれるぐらいの魅力ある女性を探す。

この終わった恋愛の何倍も素晴らしい恋愛をしよう。この恋愛はその糧にしよう。

 

きっと、少しの間は思い出すだろう。

家にある、わざわざ買い換えた無添加の洗剤を見るたびに、彼女のデリケートな肌を思い出す。必死になって探しまわした乳製品アレルゲンフリーの食材を見るたびに、彼女のアレルギーのことを思い出す。家の台所の横に吸盤で貼ってある歯ブラシ入れを見るたびに、彼女の家の中を思い出す。

 

だけど、それもいつか思い出さなくなっていくのだろう。きっと慣れていくのだろう。今の心の生傷が古傷に変わるころには、きっともう彼女と触れ合った感触すら忘れているだろう。だがそれでいい。自分はもう前を向いて、未来に向かって走り出すと決めた。

 

クヨクヨめげるのも今日で終わりにしよう。今日は目一杯クヨクヨした。友人にもたくさん話せた。俺はもう、次の恋愛に目を向けていこう。

 

 

そして最後に願おう。彼女の幸せを。

そして、自分を選ばなかったことを後悔する日が来ることを。

そのために自分は、一生懸命努力をしよう。魅力のある男性になるために。

 

 

帰路の途中で、こんな感じで気持ちの整理がついた。

その矢先、少し強い風が吹いた。夜風は冷たく、改めて独りなのだと感じた。

だが、その風は自分の孤独を祝福しているように感じた。

もう、迷わない。胸を奮い立たせろ。

辿り損ねた愛はもう悔やまないで、笑って走っていこう。

俺には、最高に楽しい恋愛がきっと待っているから。